数年前の元バレリーナで女優の草刈民代さんとご主人で映画監督の周防さんとの対話で興味深いことが赤裸々と語られていた。
日本におけるプロのバレエダンサーがレッスンプロだという現状。
どういうことかというと、バレエスクールやオープンクラスのレッスンを何か所も掛け持ちで生徒に教えをしながら生活費を稼がないと日常生活ができない、という意味。
もちろんプロのバレリーナだったらとっくにバレエ団を受ける前から、日本でバレエを職業にしようと思う時点から、バレエを踊ることで生活費を稼げないという日本の貧しいバレエ団の現状も周知の事実ですよね。
舞台だけで生活費を十分に賄える人達なんて、トップダンサーでもほとんどいないのでは?
もう一つ2014年に元バレリーナで昭和音楽大学のバレエ研究所所長の小山久美さんも、日本のバレエと莫大な費用がかかる事情が本音で語られています。
(参考:「日本バレエ大国」の現実、2014年2月19日)
この著書では本格的にバレエのプロダンサーを目指すためにかかる費用の概算がされています。
プロのバレエダンサーになるまでの費用概算
- 週に5~6回のレッスンの月謝:月20000~30000円
- 年1度の発表会:100000~300000円(参加費、衣装代、特別レッス ン、男性とのパドドゥ代等含む)
- コンクール代(特別レッスン代、先生へのお礼代、参加費用等含む):100000円
- 海外留学1年~3年(約3000000円~10000000円)
ざっと海外留学はしなくても年100万円はざっとかかる計算です。本格的にプロのバレエダンサーになるプログラムが始まるのはだいたい10歳頃から。そこからバレエ団を受ける年齢が多い18歳までとして、8年間でバレエにかかる費用はざっと800万円。
海外留学がこれに加われば、留学期間3年間と考えるとざっと1800万円。
最近は海外留学もいろいろなレベルのバレエ学校もあり、費用さえクリアできれば多少バレエのレベルは下がっても留学できてしまうバレエ好きのプロのバレリーナを目指す生徒は増えています。
そういう子どもたちは実際プロのバレエ団のオーディションには受からなく、結局日本へ帰って日本のバレエ団に受かればいいのですが、それも成功しないまま、セミプロとしてバイト生活を繰り返しながら、バレエの公演に出演している人たちも多くいます。
プロのバレエダンサーでも、
ここまでやってプロダンサーになっても、舞台だけで生計を立てるのは難しい。バレエ教室生徒の月謝に頼り、コンビニエンスストアやファストフードなどアルバイトを掛け持ちすることが珍しくないという。中には年収1000万円近いダンサーもいるが、稼げるのは若いうちに限られ、ケガで踊れなくなればたちまち無収入に追い込まれてしまう。
このように「日本バレエ大国」の現実の中で、多くの日本のバレエダンサーの生活苦の本音が語られてます。
それでもプロのダンサーになる夢を実現をするのか?
バイトしながら?ギリギリの生活をしていくのか?
プロのバレエダンサーのうちに踊れなくなってもそれに代わる将来できる仕事を副業として開業資金として貯金していくのか?
30歳以降のバレエ団を辞めたときの将来の身の振り方を考えたほうが賢明です。
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